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日記や音楽の話など

【音楽】追憶のライラック(2005)

もう何年も聴いていないのにふと思い出した、東京スカパラダイスオーケストラ「追憶のライラック」。

スカパラの名物企画ともいえる「ゲストボーカルシングル」のひとつで"ハナレグミ"をボーカルに招いた珠玉のバラード。2005年リリース。

 

この曲がリリースされた当時の私は21歳の大学生で、まだかろうじてヒットチャートを気にかけて音楽を聴いてた時代だったかと思う。「もう、流行りの歌とか、いいかな……」と通ぶり始めていた痛い時代とも言える。けど実際、あまり流行歌と自分の趣味が合わないということが多くなっていた時期だ。

 

そんな時期とは言え、この曲はヒットチャート云々関係なく、本当に歌詞もメロディも歌もアレンジも演奏も全部素晴らしい曲だと思って、当時iPodのニセモノみたいな中国産mp3プレーヤーでHDDが擦り切れるくらい聴いた。

 

正直スカパラのことはよく知らず、割と激しめな演奏やパフォーマンスをする人達というイメージが強かったので、こういったきちっとしたアンサンブルで聴かせる上品なバラードには大人の色気みたいなものを感じて、そのギャップにやられていたような気もする。

同じくハナレグミもほとんど聴いたことがなかったが、彼の歌の良さは当時より今の方が断然わかる気がする。当時はちょっとクセのある歌い方をする歌手くらいの認識でいたくらいだが、今聴くとすごくリズム感がクールで表現力豊かで、曲の世界に引きずり込む力がある歌声だと思う。何より日本語の歌詞をソウルフルに歌いまわしているのに本来の日本語のイントネーションの破綻を感じさせず、語り掛けられるように言葉が伝わってくるところが凄い。

 

当時、この曲の歌詞に自分を重ねていたような自覚もある。普段音楽を聴くときにあまり歌詞に注目しないんだけど、この曲に関しては歌詞の世界づくりが上手いのか歌い手の届け方が強いのか、どちらもあり得そうだけど、すごく引き込まれて「あれ、これ、俺じゃね?」みたいに、物語に没入して聴いていた。

歌詞の意味を完全には理解していなくて説明もできないんだけど、"自分の身勝手さで終わらせてしまった恋を悔いている"といったような解釈を当時の自分の経験と重ねて、その物語の主人公になったような気分で曲に浸っていた。

当時は今よりももっと純粋で、恋愛が当たり前のように身近にあったからこういうラブソングにもすんなり共感できたけど、今ではそういう流れで曲を好きになるのは難しい。「働けど働けど猶わが生活…」的なものの方がすんなり刺さってしまうかもしれない。寂しい。

 

この曲について調べていたら、先日のフジロックスカパラハナレグミが共演していたらしく、そのライブをきっかけにこの曲を知ったというコメントをYouTubeで見かけた。

その情報がきっかけってわけでもなく急に偶然思い出した曲。不思議だ。いい曲を思い出せて良かった。
スカパラのゲストボーカル曲で好きな曲は他にもたくさんあるけど、なんだかこの曲は特別に感じている。

 

こんな風に、懐かしい曲を思い出したらメモしていこうかな。

 

ナ〆ナナメ(音楽通)